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映画「私のはなし 部落のはなし」を観る [映画(や・ら・わ行)]

一時期足が遠のいていた田端チュプキさんですが、
年明けに「MONDAYS~このタイムループ、」を観に行ったあと、
チュプキさんのサイトで他に何か面白そうな作品があるかなあ、と探していて
目に留まった作品です。
私のはなし部落のはなし.jfif
あらすじはYahoo!映画さんより。

かつて日本には「穢多」「非人」と呼ばれた身分が存在したが、
1871年に明治政府が発した「解放令」により廃止される。
しかし、それ以降も彼らが住んでいた地域は「部落」と呼ばれ、
差別構造や意識は残り続けた。この問題に関わりのある人々の証言や、
被差別部落に関する裁判を通じ、差別の歴史や背景を解き明かしていく。


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これまで触れてはいけない話題なのか、とボンヤリ思っていたのですが、
(昔、宗教の話よりタブーだと言われたことがあって)
観てよかったと思いました。

(映画公式サイトもどうぞ)https://buraku-hanashi.jp/

この映画を観て、こうあるべき、と言うつもりもありませんし、
観たい人が観ればよいというか、観たくない人に観てという気もなく、
観た人がぞれぞれ何か感じればよいのかな、と思いました。

3時間の長尺ですが(途中休憩あり)長さは全く感じません。
殆どが全国の色々な地域の部落と言われる方々のインタビューで
(一人だけ批判的な方が顔を隠して登場していましたが)
一方に偏らず、反対派や、鳥取ループというジャーナリストの立場からも
その意見を紹介していたので色々な考えや意見があるということを知る、
そのことが大事なことではないかという気持で観終わりました。

私自身、両親が同和問題に殆ど触れることなく育ったせいか
(聞けば同級生に居たみたい、という程度)
特に意識することなく大人になり、新卒で入った会社(墨田区)の新入社員研修で
「差別のない社会をめざして」というタイトルで同和問題について総務部長の講義を
聞いた程度、その後、YouTubeなどで紹介されている動画を観る機会が増えて、
今回の映画にたどり着いたような気がします。

映画鑑賞後、監督の満若勇咲(みつわかゆうさく)さんの舞台挨拶があったので、
色々お話をうかがったのですが、ドキュメンタリーの面白い点は学べるのは一面で
いい意味でモヤモヤするところという話に納得しました。
京都のご出身ながら地元の同和問題について学ぶことがなく、大学卒業後、兵庫の
食肉処理場のドキュメンタリーを撮ったものの、同和団体からの反対意見が出たため
公開に至らず、それが、その後今作を撮影するきっかけになったそうです。

出演される同和地区の方については、監督自らが選んだり出演交渉したのではなく、
監督が知り合ったキーパーソンとなる方が直接交渉してくださったお陰で
うまく進んだそうですが、一方で若い方の身バレするという葛藤もあったそうで、
今回顔を映して名前も出してインタビューを受けてくださった方々の姿を観ることが
できたのは、監督が信頼できるキーパーソンと知り合ったからこそなのだろう、
と思いました。

映画の中で同和地区を指定する出版物を制作する鳥取ループについても描いていますが
観ている人の気持ちが敵意を感じるようには作られていなくて多面的に映し出す、
そういう中での一人という立ち位置で、ご本人も完成版を鑑賞したあと、
フラットに描かれている、という感想だったのも納得でした。

「穢多」「非人」と呼ばれていたころから現在に至るまでの歴史について
説明してくださる学者の黒川みどり先生の説明がところどころで入るのですが、
差別というものが意図的に作られていったものであるということが分かります。
人間は、自分が優位に立つことで安心する生き物なのかと思うのですが
(テレビでおバカな芸人を観て自分の方がまし、とホッとするような感覚)
差別というのもそういう本能に基づくものなのかもしれないと思いました。
インタビューの中で京都の同和地区に滋賀の同和地区から嫁いだ女性が登場し、
同和の人たちの待遇改善を求めて運動していた(戦後)話をされるのですが、
それによって生活レベルは上がったものの、同和地区のみ対応したことで、
それ以外の人たちの不満も募っていったこと、生活レベルを上げるような方策を
同和、それ以外の人、分けることなく全ての住民に対して行うべきだったのでは
ということを仰っていたのが印象的でした。

この作品を観て自分がなにか運動を起こすということには至りませんが、
これまで身近になかったけれど日本のどこかに存在している問題について、
一端でも知ることができたことは自分にとっても世界が広がるわけですし、
それもこの映画のお陰でだと思えた「私のはなし 部落のはなし」でありました。


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夏炉冬扇

早く知った方がいいですね。
運動している人、研究している人、ご縁多々です。
by 夏炉冬扇 (2023-02-15 17:07) 

うつぼ

夏炉冬扇さん、こんばんは。
私自身、身近にいないという理由で知らないことが多かったのですが
今回の作品で知ることもあり、私なりにもっと知りたいと思うように
なりました。
by うつぼ (2023-02-15 20:00) 

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