映画「世界で一番ゴッホを描いた男」を観る [映画(さ行)]
アマゾンプライムで見つけたドキュメンタリーです。
内容はYahoo!映画さんより。
中国の湖南省出身のチャオ・シャオヨンさんは、
1996年、大芬(ダーフェン)に出稼ぎにやって来る。
そこではゴッホなど有名画家の複製画を作ることが産業として成り立っていた。
彼は、初めてゴッホの絵画と出会い、独学で油絵の描き方を勉強して、
およそ20年にわたって狭い工房でゴッホの複製画を描き続けてきたが、
本物を目にしたことは一度もなかった。
中国の湖南省出身のチャオ・シャオヨンさんは、
1996年、大芬(ダーフェン)に出稼ぎにやって来る。
そこではゴッホなど有名画家の複製画を作ることが産業として成り立っていた。
彼は、初めてゴッホの絵画と出会い、独学で油絵の描き方を勉強して、
およそ20年にわたって狭い工房でゴッホの複製画を描き続けてきたが、
本物を目にしたことは一度もなかった。
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ゴッホの複製画を10万点描いた男。
絵心のない私には、絵画(しかも油彩)が描ける人は尊敬の対象ですが、
しかも10万点も描いてきたということにただ驚きました。
深圳の大芬(ダーフェン)に絵画村と呼ばれる複製画を描く職人が集まるエリアが
あることを今作で初めて知ったのですが、注文を受けて奧さんや兄弟、弟子と手分け
しながら描く(家内制工業のような、工房というよりは小さな工場のような場所)
ゴッホの実際の作品を観たことがないシャオヨンさんが画集やテレビからの情報のみで
筆遣いを研究して次から次へと絵を完成させて注文主の元(オランダ)へ送る繰り返し。
大量の複製画注文を低価格で請け負い、描いても描いても貧しい生活は変わらない中、
(深圳が急速な経済発展を遂げる中、シャオヨンさんの零細企業は請負金額が上がらず)
ゴッホの描いた本物の作品を観にオランダに行きたいと奧さんに言うのですが、
お金がないのにどうやっていくのか、と、奧さんには当然反対されます。
オランダに行って学ぶことで作品の質が上がって収益向上につながるなどと
繰り返し説明してやっと承諾してもらいますが、渡航するまでの道のりも長く、
農民戸籍のシャオヨンさんは故郷の湖南省まで行ってパスポートを取得し、
オランダ渡航のビザが下り、お金も工面できてやっとアムステルダムを訪れることに。
念願のアムステルダム、意気揚々と模造画の注文主に会うのですが、
自分の描いたゴッホの複製画が飾られているのを見て誇らしげな気分になった後、
そこがギャラリーではなく土産物店で請負額の10倍の値段で売られていることを知り、
シャオヤンさんはショックを受け落胆します。
映画の前半で描かれる姿は複製画を描く職人であって芸術家ではない、
シャオヤンさんは都市戸籍がなく地方の貧しい土地で育ち、学歴も小学校卒業、
職を探して深圳にやってきて見つけたのがゴッホの複製画制作だったわけですが、
(母一人に育てられた環境では仕方なく、苦しい中育ててくれた母には感謝している
というシャオヨンさんの姿に思わずウルっとしてしまいました)
自分が一生懸命研究して描いた絵の行先を目の当たりして、また、ゴッホの実際の作品を
直に観ることでシャオヨンさんの気持ちにはゴッホへの更なる尊敬の気持ちと、
自分の描きたいを描いてみたいという気持ちに変化していきます。
生活の糧を得るために複製画を描き続けながら、
50年、100年先に評価されるかもしれない自分の作品を描きたい、と、
最初に描いたのが辛く貧しい思い出のある湖南省の故郷に住む大好きな祖母、
深い皺が刻まれたおばあちゃんを描くシャオヨンさんの姿はとても楽しそうでした。
アムステルダムでゴッホの作品を観たことでゴッホへの尊敬が更に強まって
自分のやりたいことが見つかったこと、シャオヤンさんがとても真面目な人なんだろうな
と画面越しに伝わってきましたが、ゴッホと出会ったことで前向きな気持ちになれた
シャオヤンさんが自分の描きたいものを心の思うままに描けることの幸せを感じている
のではないかと思った「世界で一番ゴッホを描いた男」でありました。
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