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映画「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」を観る [映画(さ行)]

田端のチュプキさんで鑑賞した映画です。
寂聴.jpg
内容はYahoo!映画さんより。

100歳を目前にこの世を去った僧侶・作家の瀬戸内寂聴氏。
死の直前まで月刊誌や新聞の連載をこなし、亡くなる直前まで
月に1回の法話を続けていた。
自らの体験を私小説として赤裸々につづり、51歳で出家した寂聴氏は、
何歳になっても女性であることを忘れず、人生を謳歌(おうか)していた。


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死ぬときは一人。

寂聴さんの法話の場面が何度か登場するのですが、
そこで語られた言葉で印象的だったのが死ぬときは一人、でした。

中村裕さんというディレクターによるドキュメンタリーで、
中村さんと共に語り食事する寂聴さんはどこか可愛らしいのですが、
プライベートな場面を公開して儲けなさいと言う寂聴さんの気持ちに反して
いないとはいえ、中村さんという人に共感できたかというとよく分からず、
(話し方があまり好きになれなかったのかもしれません)
晩年、中村さんを頼りきっているように見えてしまう寂聴さんの姿を見て
羨ましいとは思えないというか、少々モヤモヤの残る作品でした。

悪くはない、でもなにかあまり響いてこない。そんな感じです。

夏の終り (新潮文庫)

夏の終り (新潮文庫)

  • 作者: 寂聴, 瀬戸内
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/08/30
  • メディア: 文庫
30代前半くらいのころこの本を読んで、
情熱的な、自分の気持ちに正直な人なんだと思った寂聴さん、
出家したことについても語っていますが禁欲だけは守っている、
戒律の1つはずっと守っていると語り、もし出家していなければ、
もっと大変なことになっていただろう、とと語る場面は
自分の気持ちに正直に生きてきたことにどこか折り合いをつけようと
していたようにも見えました。

法話でも参加者を笑わせ、親身になって考える姿、は心に響くのですが、
中村さんとの会話の場面は最初から最後までしっくりこない、
中村さんが最後にもらった留守電メッセージについても、
私たちが聴くものなのかな、という気持で観終わりました。

2人が長年の交流を通じて築いた関係を垣間見せてもらっている感覚ですが、
映像からはうかがえないものもあると思いつつ、
その関係を見ても憧れたり羨ましかったり共感することがなくて、
17年間追い続けてきた寂聴さんだからこそ、晩年ともに過ごしていた
秘書の瀬尾さんについてもう少し描いてほしかったかな(登場時間ごくわずか)
寂庵を管理する馬場さんももうちょっと描いてほしかったかも、と思いました。

今作自体が中村さんの視点で描いた寂聴さん、なのだろうと思いますが、
中村さんに共感できないがために寂聴さんの姿を素直に受け入れられない、
お肉を食べお酒を呑む寂聴さんの姿は観ていて豪快でしたが、
中村さんがそこに入ってくるともやッとしてしまう、全編そんな感じでした。

老いていく寂聴さん(普通にできていたことができなくなっていく)を観ると、
自分の母(婆1号)と重なってしまい、歳をとるとはこういうことなんだろうな、
母の次は自分が辿る道なのだろう、と途中から自分寄りの目線になってしまい、
そこでウルルとなってしまいました。

ドキュメンタリーは作り手の編集や描きたい形に寄るのかと思いますが、
(見る側の求めるものや好みにもよるのかと思っています)
寂聴さんのドキュメンタリーを観たい、でもどちらかといえば、若いころの映像に
晩年の瀬尾さんとの交流を描いた映像が見たかったかもなあ、と思ってしまった、
「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」でありました。
(全体的にモヤモヤな感想になってしまいすみません)



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