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映画「コレクティブ 国家の嘘」を観る [映画(か行)]

ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞した映画です。
国家の嘘.jpg

あらすじはYahoo!映画さんより。

2015年10月30日、ルーマニア・ブカレストのクラブ「コレクティブ」で
火災が発生し、多くの死者と負傷者を出す大惨事となる。
別々の病院に運ばれた負傷者たちは次々に死亡し、最終的に死者数が大幅に増加。
事件に疑問を抱いて調査を開始したスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の
編集長は、内部告発者から衝撃の事実を知らされる。


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いまのルーマニア、政府の腐敗ぶりに驚きました。

私が知っているルーマニアといえば、昔はドラキュラ、小学生の頃はコマネチ、
そのコマネチが1989年に亡命した年の暮れ、チャウシェスク大統領が逃亡先で
妻と一緒に革命軍によって銃殺されるシーン、で時が止まっていました。
その後は民主化が進んでいるものと思っていましたが、今作で観たような政府が
根っこから腐っているような汚職まみれな状況であることを知って驚きました。

多数の死傷者が発生したナイトクラブの火災、
(実際の映像が流れて緊迫感がすさまじかったです)
重症の火傷患者を治療する病院がなく、従来であればオーストリアに移送するのを
国内の病院(火傷治療専門というのですが)に入院させて治療している間に
緑膿菌に感染し、命を落とした人が多数発生したことについて、その背景にある闇を
情報として受けたスポーツ紙の記者が深く闇を探っていく、その流れを映像に収めていて、
普通のドキュメンタリーであれば映らないと思われるようなところにもカメラが回り、
緊迫する取材の様子、危険を覚悟の上で密告する関係者、逆風の中状況をよくしていこうと
一生懸命取り組んでいく新しい保健相の姿を見ると、果たして日本でこういう人がどれほど
いるのか(自分を含めてという意味で)と考えてしまいました。

取材当初は、ルーマニア国内の多くの病院に消毒液を納入している企業の社長が
政府や病院と賄賂を通じて結託し、記載表示の機能を満たしていない消毒液を納入し、
それが原因で緑膿菌に感染して命を落とす人が増えていったということが分かり、
消毒液の製造会社の社長を追求すると、自動車事故で死亡、警察は自殺と断定し、
政府の闇がこんなところにも見えてしまい、途中でもこの国腐ってる、、と
思ってしまいますがそれを追い詰めていく記者のみなさんたちを観ていると
日本のメディアにも見習ってほしいなという気持ちになりました。
とはいえ、この記者たちも記事によって世論を動かしていくようになると、
見えない圧力で命の危険(家族も含めて)に晒されていくようになっていく、
民主化になったはずの国も革命軍で政権交代となっても長期化するとこうなって
しまうのかと思いました。

日本にも言えることですが、これほど腐敗ぶりが炙りだされているにも関わらず、
その後の選挙で与党が圧勝するという事実。
若い人が政治に興味なく選挙にいかないことによるところが大きいのは
ルーマニアも日本も同じなのかと思ってしまったのですが、
自分の立場や利益を考えて行動する政府、議員、公立施設の重鎮、民間企業トップ、
こういう人たち(国民からみたら小さい割合)が権力やお金を握ってしまい、
国民目線より自分目線になるとこういう残念な事件が起きてしまうのだと思います。

映画では、実際緑膿菌が感染して生きているけれど死が近づいている患者の様子、
告発する医師が撮影した動画も映画で映されます。
思わず目を伏せてしまいたくなるような映像ですが、自分たちの利益ばかり考える、
それが原因でこういう患者さんがいることを当事者たちはどう思うのか。
他にも火災事故で大やけどした女性(手の指を失い火傷もすごい状態)が
全編出てくるのですが、生きることへの希望を持ち続けて行動しているように
見えることには救いを感じました。

このドキュメンタリ―作品だけで闇を全て解明したり、追い詰め切れたりは
出来ていないのだろうというのは、記事が発表されてからの選挙で与党が大勝した、
そういうところからもわかるのですが、様々な問題を炙りだして報じる、
その姿勢を見て日本のメディアにもこうあってほしいと思った、
「コレクティブ 国家の嘘」でありました。



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