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映画「たちあがる女」を観る [映画(た行)]

予告編を観て気になっていた作品、恵比寿の映画館で鑑賞しました。


たちあがる女.jpg


アイスランドの片田舎で暮らすハットラ(ハルドラ・ゲイルハルズドッティル)は、
セミプロ合唱団の講師をしていた。
彼女には、正体不明の環境活動家“山女”というもう一つの顔があった。
地元のアルミニウム工場相手に孤独な戦いを強いられていたハットラに、
ある日、夢だった養子縁組の申請が通ったという知らせが届く。




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実に不思議な。

後味がモヤモヤ過ぎるのですが、嫌いではない映画。

アイスランドというと首都がレイキャビク、ってキャベツみたいだな、と
小さい頃に思った程度の印象しかないのですが、今作で描かれるアイスランド、
豊かな自然、氷河、そこに中国資本が大きく入ってきて、
経済は発展していくかもしれないけれど、地球温暖化、環境破壊が進んでいく。

そんな中で孤高のテロリスト、山女として活動するのが主人公のハットラ。

中国資本の入った大工場に電気を送る送電施設を破壊する、その姿には
どこか狂気も感じるのですが、一転、合唱団をとりまとめる姿は非常に微笑ましい。
自分だけでなくアイスランド国民が豊かな自然の中で穏やかに過ごせるように、
そんな気持ちで活動を始めたと推測されますが(そのあたりは描かれていない)、
見ていてもハラハラしたりちょっとイライラしたりするものの、
共感できるかというと、考えに共感は出来てもその表現方法にはモヤモヤする、
そんな映画でした。

匿名でビラをまいてSNSで山女の考えが拡散するところまではよかったけれど、
その後、政府がそれを逆手にとって政府の政策が間違っていないこと、
間違っているのは山女だというプロパガンダを展開していく、情報操作、
メディアの力(負に大きく操作できるという)の怖さも描かれていく中、
それでも活動をやめないハットラの原動力ってどこにあるんだろう、
強い信念だけで動けるとしたら、この女性はひたすら前に向かって進む、
強い女性なんだろうな、と根性無の自分とついつい比較してしまいました。

ハットラの活動がいつまでもうまくいくわけもなく、
政府の捜索(ドローンまで使う)がハットラを追い込んでいって、、
で、最後にそうなるの?え?となるわけですが、最後の最後の水害の場面は、
ハットラの活動が終わってしまうことによって、環境破壊が進み、
地球温暖化で水位が上がっていくアイスランドを暗示しているような気がしました。

内容は非常にどんよりモヤモヤですが、場面場面に登場する音楽隊と奏でる音楽、
どこか不思議な空間を作り出す演出がよかったので(好き嫌い分かれそうですが)
なんとなくどこかほわっと温かい気持ちで見られたような気がします。

ハットラが迎える養子はウクライナの戦争孤児、
ウクライナも経済発展を急ぐばかりに原発事故を起こし、その後紛争、
アイスランドもゆくゆくはそうなっていくのではないか、という暗示も
表現しているのかな、という気持ちにもなりました。

ジョディ・フォスターがハリウッドでのリメイク権を得たそうですが、
ハリウッドでこういう映画、どうつくってもハリウッド、見たいような見たくないような、
多分見たくないけれど見てがっかりしそうです。(-_-;)

楽しい映画ばかり見たい訳ではないので、時折みる単館系の映画でこういう映画に会うと、
平和ボケの日本にいる自分のぼんやりを反省するのですが、広くて狭い世界、
自分の周り以外にも目を向けることは大事だな、と思った「たちあがる女」でありました。




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