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映画「シッコ」を観る [映画(さ行)]

お久しぶりのムーア監督作品鑑賞です。

シッコ [DVD]

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内容はamazonさんより。

突撃取材で知られるマイケル・ムーア監督が、
米国の医療問題にザックリとメスを入れた衝撃のドキュメンタリー。
国民健康保険が存在しない米国では、民間の保険に加入することが
ベストだと思われているが、実際は保険会社は利益重視で、
いざ保険金となると過去の病歴をあげ、手術を実験的だと判断し
…と、できるだけ保険金がおりないように画策する。
そして何人もの人間が命を落としていく。
入院費用が支払えないからと病院を道に捨てることもある!
と、驚くような米国の医療問題を悪質な医療制度の被害者の取材から、
ムーアは切り込んでいく。
政治家と保険会社の癒着、ニクソン時代に遡った医療制度の問題点などを
赤裸々に映像で語り倒し、そしてフランスやイギリス、キューバなどの
充実した医療制度を比較する。
ムーアの視点はあまりにも一方的な危なさはあるが
見て見ぬふりをしてきた問題を掲げる勇気は立派だ。
ただ医療制度を変えることができないのはなぜか、
政治家と保険会社の癒着だけが問題なのか、疑問点は残る。
マシンガントークのような映像とナレーション、そのわかりやすい演出に圧倒され、
まるごと信じてしまいそうになるが、見ている方にも冷静さは必要かもしれない。
とはいえ、わが国と比べたり、調べたり、もっと知りたいという意欲になる、
いろいろ考えさせられる映画であることは確かだ。
 






「日本に住んでてよかった」、、、これが素直な感想です。(^_^.)


映画は、
ヒザを怪我した(パックリ割れた傷口)男性が病院で縫合してもらうと高いから、
と、自分で麻酔もせずチクチク自分の傷口を縫う男性が冒頭から登場します。

この手の話はアメリカでは別に珍しくもない話で、
次に出てくるのが、のこぎりで指2本の先を切断した男性。
指の接合の値段(中指が6万ドル、人差し指が1万2千ドル)に驚いた男性、
2本接合するお金はないので安い方の指1本だけ接合してもらいます。

日本じゃあり得ないじゃん、と思いながら見続けていると、
この国の歪んだ構図が炙りだされます。


国民皆保険を提唱したヒラリーはロビイストに封じ込められ
(その後、保険会社から政治献金をもらうようになるわけですが)
その後、この問題に一切触れなくなってしまいます。


保険に入れない人は普通に病院で医療を受けることも出来ず、
保険に入っていても、「その治療は必要ない」と保険会社に通告され
結局ガンが転移して亡くなる人もいる事実。

自動車事故で意識を失い救急車で病院に運ばれた患者には
事前に保険会社の許可を取らずに救急車に乗ったのでその費用は支払わない、
という判断。(救急車が無料ではないことにまず驚いてしまいました)

日本でも救急医療の受け入れ拒否でたらいまわしにされ亡くなる人もいますが、
アメリカでは、保険会社が許可しないと救急医療も出来ず
保険金支払い拒否の判断を下した保険会社お抱えの医者に対しては高報酬、
と、見ていて驚くことばかりが映し出されます。。。


国民皆保険は社会主義だと主張して導入を拒否する議員やロビイストのせいで
導入が実現しない中、本当に国民皆保険は社会主義なのか、
国民皆保険だと医療の質が落ちてしまうのか、疑問に思ったムーア監督は
カナダに行きます。


カナダでは医療は無料。


事故で5本の指を切断したものの、無料で接合してもらった人、
フロリダのゴルフ場で腕の筋を切断して高額な治療費(2万4千ドル)を提示され
切断したままの状態でカナダに帰り無料で接合してもらった人、が紹介されます。


この事実に驚いたムーア監督、今度はイギリスへ。。。


1948年につくられた制度で医療費は無料のイギリス。
産前産後の診療も出産費用も無料。 


医療費が無料なら医師の報酬も低いと思ったらそんなことはなく、
年収8万5千ポンド(実績報酬制)で郊外に豪邸と高級車アウディを持つという医師。


フランスも医療費は無料、この恩恵は在住のアメリカ人も受けられる、という事実。
化学療法で仕事も戻るまで3ヶ月かかると医師が診断した場合、
休業中は65%政府、35%企業が給料を支払い、従業員は休むことが出来るという制度。
富める者が貧しいものを面倒みるという制度などを見て
国民皆保険制度は社会主義ではない、とムーア監督は実感し、
フランスを悪く言うアメリカ政府は理解できないと言います。


一転、場面はアメリカに戻り。


LAの病院前でタクシーから下ろされた女性。
治療費の支払い能力がないとみなされて病院を追い出され
違う病院の前に連れてこられる、というケースも多いそうです。


9.11でボランティアで救助に当たり肺などの呼吸疾患に罹った人たちが登場します。
ボランティア(正式に任務に当る職員でない)という理由で、医療補助もないというのが
政府の見解。

同様に、遺体収容ボランティアで精神を病んだボランティアにも補償がありません。

一方、9.11のテロリストたちは逮捕されグアンタナモに収監されていますが
医療費は無料。

捕虜は理学療法も受けられる、という政府のコメントを皮肉に感じるムーア監督は
基地前で拡声器をつかって9.11のボランティアで病気にかかた3人と共に、
医療を必要としている人たちがいるので中にいれて医療を受けさせて!と叫びます。

が、捕まりそうになるので退却し、キューバの地へ。
キューバ=魔王(カストロ)が住む最悪の国と思っていたムーア監督に対し、
現地の医師がキューバには国民皆保険制度だと聞き、驚きます。

国民一人あたりの医療費はアメリカが年間7000ドルに対しキューバは251ドル。
アメリカのように営利目的じゃないから、というのが理由ですが、
呼吸器疾患で辛い思いをしている9.11ボランティアが服用する薬は
アメリカで120ドルと高価である一方、キューバで買えば5セント相当。 
あまりの価格差に悲しむボランティア患者。
(アメリカでは医療機関と製薬会社が結託してるんでしょうかね)

経済大国と言われながら医療の質は世界で37位のアメリカの今後は??
(アメリカはスロベニアの一つ上)








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これらの映画でファーストフードなどでも大手食品会社のロビイストなどによる活動が過激で
アメリカ人の食生活が変化していく様子がうかがえますが
健康保険に関しても保険会社が高い収益性を保つために、加入者を蔑ろにしている様が
映画からうかがえました。


私が社会人になったころ、病院に行って支払うのは(自己負担)1割でした。
それから二十数年経ったら、3割。
高い高いと思っていましたが、アメリカの現状を見ると日本ってずっとマシなんだな、
と見ながらホッとしてしまいました。

勿論、この監督の作品なので、一方からの過激な見方をしている部分もあるとは思います。
ただ、国民皆保険を己の利益の為に排除しようとする議員や保険会社、
この人たちは国の平和や豊かな社会を実現しようという気が微塵もないんだろうな、
互いを思いやる、そういう気持ちがあれば世の中うまく回ると思うのに、とか思ったり。

保険加入者に正当な医療を受けさせずに自分たちが多額の報酬をもらう、
そんな歪んだ仕組みを根底から直さないとダメなんじゃないかしら
なんて思った「シッコ」でありました。 


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コメント 6

rtfk

深い問題ですね・・・
日本の医療制度・社会保険制度がいいとは思いませんが
米国よりはマシなんでしょうね。。。

by rtfk (2011-12-23 08:18) 

うたに

強い者が勝ち、カネ持ちしか救われない、一度転落すると這い上がれない国・・・それがアメリカ。
日本も年金制度や社会保険制度で何だかんだ揉めていますが、こういう問題を見せ付けられると、まだ全然マシだなぁと感じますね。。
by うたに (2011-12-23 12:28) 

ベアトラック

おっしゃる通りだと思います。
日本の国民皆保険に全く問題がないワケではありませんが、いやむしろ、それなりに色々と問題も多いのですが・・・
とりあえずは安心して医療機関にかかることが出来るという意味では、日本に生まれて本当に良かったと思いますね。
by ベアトラック (2011-12-23 15:01) 

うつぼ

rtfkさん、こんばんは。
日本の制度にもたくさん問題はありますし(だからマイケル・ムーア監督は
日本については映さなかったりして(笑))
良い制度だとも思えないのですが、それでもアメリカに比べればマシかな
なんて変なところで納得してしまいがちな映画でしたね。(^_^.)
by うつぼ (2011-12-23 22:09) 

うつぼ

うたにさん、こんばんは。
日本よりもっと底辺に落ちてしまうと上がれないという社会構造ですね。
本当に一握りの金持ちだけが上質な医療サービスを受けられて、それ以外は
高い医療費で生活破綻するか、医療を受けられずに病気が悪化するか人間の生活の質が重視されていないのかな、なんて思いましたねぇ。。
by うつぼ (2011-12-23 22:17) 

うつぼ

ベアトラック兄さん、こんばんは。
日本だって問題たくさんあると思うんですが、保険会社が治療するな、とか
判断して治療や手術を受けられない、なんてことありませんし、とりあえず
3割負担すればそれなりの医療は受けられるだけでもいいのかな、なんて
思いつつ、アメリカ以外の国は無料とかもっといいところがあるので、それに
比べたら日本は、、、と思ったりもしますね。(^_^.)
by うつぼ (2011-12-23 22:24) 

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