SSブログ

「スウィーニー・トッド」を観る [映画(さ行)]

「スウィーニー・トッド」を観ました。

 ティム・バートン監督作品

ブロードウェイで何度も上演されているミュージカル、、ということは知っていたのですが、
とにかく怖いのが苦手な私としては敢えて避けていたジャンルです。
でも、ジョニー・デップはいいとして(スミマセヌ)、
ヘレナ・ボナム・カーターとアラン・リックマンとティモシー・スポールが出る、、、と聞くと、
やっぱり観ておこうかな、と思い映画館へ足を運びました。

公開2週目、木曜夜の上演ですが、シネコンの一番大きいシアターながら観客は30~40人。
R指定作品だし、観る人が限定されそうな作品なのでこれは致し方ないかも。。。


以下、完全にネタバレしていますので、
これから物語を予習せずに鑑賞されたい方は、どうぞスルーして下さいね。

舞台は19世紀のロンドン。

船乗りのアントニー(ジェイミー・キャンベル・バウアー)に助けられ、
15年ぶりにロンドンに戻ってきたスウィーニー・トッド(ジョニー・デップ)。
 昔の名前はベンジャミン・バーカー。
腕の良い理髪師だったバーカーは妻のルーシー(ローラ・ミシェル・ケリー)と
生まれたばかりの娘と幸せに暮らしていたが、
ルーシーを一方的に慕っていた悪徳判事ターピン(アラン・リックマン)の策略で
無実の罪で捕らえられ刑務所に収容されてしまったバーカーは、
ターピンへの復讐を誓って“スウィーニー・トッド”と名前を変えロンドンに戻ってきたのだった。

以前、理髪店を営んでいた場所に戻ってくると、
建物の1階では変わらずミセス・ラヴェット(ヘレナ・ボナム・カーター)がパイの店を開いていた。
(ロンドン一まずいパイ、とラヴェット自ら歌うシーンがグロいです。。。。)
トッドが以前のバーカーだと気付かぬラベットは、2階で理髪店を営んでいたバーカーの話を始め、
バーカーが捕らえられた後、ルーシーはターピンの罠にはまって大勢の前で辱めを受け、
そのショックで服毒してしまったこと、娘はターピンが養女として引き取ったことを知る。

呆然とするトッド。その姿を見て、以前のバーカーだと気付いたラベットは、
売らずにとっておいたバーカーの銀のヒゲそり用ナイフをトッドに渡すのだった。

トッドの復讐は無実の自分を陥れたターピン判事を殺すこと。

ターピンを殺す為には理髪店を開き、客としてやってきたターピンの喉をかき切ろう、
と思ったトッドは、ラベットと街中へ出かける。
世界一と名乗るイタリア人理髪師ピレリ(サシャ・バロン・コーエン)の嘘を暴き
公衆の面前でどちらが髭剃りが上手いか、という対決を申込み、
ターピン判事に仕える役人のバムフォード(ティモシー・スポール)の判定によってトッドが勝利する。

町にトッドの腕の良さが噂で広まり、バムフォードが勧めればターピン判事が自分の店にやってくる、
そう思ったトッドのところにやってきたのはピレリ。
ピレリは本当はイタリア人ではなく、以前バーカー(トッド)の店で働いていた男だった。
トッドがバーカーであることを知られたくなければ今後の店の売上の半分をよこせというピレリ、
過去の自分を知るものを生かしておけないと思ったトッドは銀のかみそりで喉をかき切ってしまう。

ピレリの死体をどうするか考えるトッドとラヴェット。
ロンドンでは肉が高いからピレリの死体を使って
 自分の店でパイにして売ったらどうかと提案し、
人肉入り(←モチロンナイショ)ミートパイを売ってみたら店は大繁盛。。。


このあたりのくだりを観て、

フレッシュ・デリ

フレッシュ・デリ

  • 出版社/メーカー: アット・エンタテインメント
  • 発売日: 2005/12/28
  • メディア: DVD

誤って殺しちゃった人の肉をミートボールにしちゃって店が繁盛するとか、

MUSHROOMS

MUSHROOMS

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • 発売日: 1996/05/23
  • メディア: ビデオ

死体から生えたマッシュルームをオムレツにしたら店が繁盛しちゃったとか

デリカテッセン <デジタルニューマスター版>

デリカテッセン <デジタルニューマスター版>

  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • 発売日: 2002/08/29
  • メディア: DVD

下宿人を次々殺して肉にして売っちゃうとか、、、、

そんな映画をふと思い出してしまいました。。。


(話は映画に戻って・・・・)

トッドの娘ジョアナ(ジェイン・ワイズナー)を養女として監禁状態の中育てていたターピン判事は、
ジョアナと結婚してしまえばよいと思ってプロポーズするがイエスと言ってもらえない。(←当たり前)
「髭を沿ってオーデコロンを振って身なりを整えればイエスの返事がもらえるはず」と言う
バムフォードが勧めでトッドのところへ髭を剃りに行くターピン判事。
復讐のターゲットが自ら店にやってきたと知ったトッドはカミソリで喉をかき切ろうとするが、

そこにやってきたのがトッドを助けた船乗りのアントニー。
窓から外を眺めていたジョアナを道端で見上げたアントニー、2人は一目ぼれし、駆け落ちを約束し、
逃げる為の馬車を見つけるまでの間、ジョアナをトッドの店に匿わせてほしいとお願いしたのだが、
それを聞いたターピン判事は激怒し、家に帰ってジョアナを精神病院に入れてしまう。。。

トッドもターピン判事への復讐が果たせず、このままでは二度と復讐が果たせないと焦る。

そんな間も、ピレリの下でこき使われていた孤児のトビー(エド・サンダース)が
ラヴェットにすっかり懐いて店を手伝うようになり、
ラヴェットのミートパイは売れに売れ店はますます大繁盛、、となる。

アントニーはトッドにジョアナが精神病院に収容されていることを伝えると、
これでターピン判事に復讐が出来ると策略を考える。
かつらの毛を調達したいとかつら職人見習いのフリをして病院に入りジョアナを連れ出すように
アントニーに指示するトッド。
喜んでアントニーが出かけるのを見届けたトッドは、
船乗りがジョアナを騙して店に連れてくる、と書いた手紙をトビーに渡し、ターピンに届けさせる。

その頃、ラヴェットの店の煙が悪臭を放っているという苦情が出ている、と
バムフォードがやってくる。
何もしていないと主張するラヴェット、それを観たトッドはバムフォードを自らの店に連れて行き
殺してしまう。。。 その後店に入ってきたのが物乞いの女。
ターピンの家で窓辺に座るジョアナを見つめていたアントニーに話しかけ、
悪臭が出ているとバムフォードに言ったのがこの物乞いの女。
トッドと向かいあった女は「以前会ったことがある」と言うがトッドはかみそりで喉をかき切ってしまう。。。

その後、ジョアナを連れ出しトッドの店に隠すアントニーは馬車を探しに出ていってしまい、
人の気配を感じて隠れたジョアナ、そして、入ってきたのはトッドとターピン。

トッドは復讐の時が来た、、とカミソリをターピンの喉に当てながら、、、
自分が15年前ターピンによって無実の罪で捕まったベンジャミン・バーカーだと明かし、
殺してしまう。。。。

トッドを疑うトビーを地下のキッチンに閉じ込めたラヴェットがトッドを連れて地下へ行くと、
トビーは消えていた。。。 
そして、2階の理髪店で殺された後地下に落とされた物乞いの女の顔を見て
妻のルーシーだったことを知り、自らの手で殺してしまったことを嘆くトッド。
ラヴェットは「毒を飲んだ」と言っただけで「死んだ」とは言っていなかったのに
死んだと勘違いしていたのはトッドだった。。。

死んでしまったものは仕方ない、これからは生きているものを大事にする、と言いながら
トッドはラヴェットと踊り、、喜ぶラヴェットをパイ焼きの大釜に投げ入れ蓋を閉め殺してしまう。。。

キッチンに隠れながらラヴェットが殺されるのを観ていたトビー。
母親のように慕っていたラヴェットを殺された怒りで、後ろからトッドの喉にカミソリを当て
殺してしまうのだった。。。


あぁ。。。
いやぁ、、、、、、怖いのが苦手な私ですが、2時間弱、特に中盤からは本当に参りました。
中盤から血しぶきビューッの連続の正に「血祭り」状態で、
ずっと口開けたまま唖然としてみていた私です。。。
多分、100人くらい血しぶきビューッを観れば段々笑えるようになったかもしれませんが、 
劇中で殺されたのはせいぜい20人弱なのでそこまで至らず。(笑)

R指定になった理由がよく分かりました。。。(ーー;)

元がミュージカルなので登場人物各々の役割がしっかりしている分、
観ていて分かりやすいのですが、赤い鮮血観る度に「ひえ~(;O;)」と思うのでありました。

ヘレナ・ボナム・カーターが撮影中に妊娠して、胸の大きさが場面によって変わる、という
事前情報を持ってみたので、そういう点では面白かったり、
ターピン役のアラン・リックマンがいい味出しながらも「これって単なるエロオヤジじゃん」と
スクリーンに向かって突っ込みいれたくなったり、、、とか、、
本筋と関係ないところで楽しんだことは楽しんだのですが。。。

暗いトーンの画面の中で、当時(19世紀初頭?)のうす汚い雰囲気のロンドンが描かれていたり
本編に入る前の冒頭のシーンで鮮血や肉挽き器などがおどろおどろしく登場したりと、
怖いのが嫌いな私には充分すぎる演出だったので、話の結末が気になりながらも
「か、か、帰りたい」という気分にさせられました。。。

とはいえ、ジョニー・デップは非常にいい味を出していて歌も上手くてビックリ、
ヘレナ・ボナム・カーターは歌はあと一息な感じもしましたがトッドを思う故の態度に共感したり、
結構お気に入りのティモシー・スポールの味わい深い演技が嬉しかったり。。
このティモシー・スポール、ハリー・ポッターシリーズでヴォルデモートの手下を演じていますが、

ヴァキューミング

ヴァキューミング

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2004/08/06
  • メディア: DVD

性悪だけど成績の良い掃除機セールスマンを演じたり
ラッキー・ブレイク

ラッキー・ブレイク

  • 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア
  • 発売日: 2003/04/25
  • メディア: DVD
脱獄しようとする囚人を助ける弱気なおじさんを演じたり、、
と脇役で映える面白い役者さんなので今回も結構楽しめました。。。。

今回の映画化は、舞台作品をうまく映像化していると思います。
ただ、喉をかき切るシーンや、殺された人を椅子から床下に落とす場面などは、
血がビューッと出たり、死人が頭から床に叩きつけられたり、、、という映像が
かなりリアルで、、、この先何かの折に夢で見てしまいそうです。。。
 
そんなことで、ミュージカルとしてはスティーブン・ソンドハイムの重厚な音楽を楽しみつつも
また、登場人物それぞれの愛するが故の悲しい結末にグッときたりしたものの、
とにかく怖かったので映画版は一度で充分かな、と思った「スウィニー・トッド」でありました。
 
(おまけ)
この作品、数年前にNYブロードウェイミュージカルで再演されたのですが、

 映画版のこの2人が

 舞台版だとこんな感じでした
トッド役はマイケル・セルヴェリス、ラヴェットはパティ・ルポーンと、
ブロードウェイでは非常に有名な2人が演じていました。。。
 舞台で登場人物が演奏したり
そういえば、、、日本の舞台版では
ジョニーデップ→市村正親、ヘレナ・ボナム・カーター→大竹しのぶ、でしたね。
私自身はトニー賞の授賞式で場面の一部を見ただけですが、
今回の映画を観て、舞台版を観ておかなかったことを後悔しました。
次回リバイバル上演されるときはゼヒ観てみたいですね。
さすがに舞台で血しぶきビューッはなさそうですし。。。(笑) 


nice!(6)  コメント(10)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

nice! 6

コメント 10

Catcat44

うつぼさん、こんばんわ!
ご覧になったのですね。ブロード・ウェイと言えば、うつぼさん、です。
普段なら、“血祭り”も腕や足がぴゅーっと飛ぶのも、それほどじゃないのですが、自分のところでも書きましたが、いまいちハマれなかったが故に、人肉ミートパイを実に美味しそうに食べる住人たちの無邪気な顔が、なんとまぁ無知とは恐ろしいものかと、その部分に、気分が悪くなりそうでした。
アラン・リックマンのエロおやじっぷりには、同感です(笑)
薄暗く汚く陰鬱としたロンドンの描写は素晴しいのですが、やはり気が滅入りました。私も、1回見れば、十分かな。
R15指定の作品を、まぁジョニーとはいえ、あんだけばんばんCMしていいものか、ちょっと不安になった1作です。
トラバさせて頂きます~!
by Catcat44 (2008-01-26 22:44) 

堀越ヨッシー

元ネタがミュージカルって事で音楽がダニー・エルフマンじゃない点が残念ですが、アラン・リックマン(あの鼻にかかった声の感じが大好き!)が出てると聞いたらやっぱり見たくなりますね。オイラは一時期ティム・バートン信者だったのですが、どうもここ数年はしっくり来なくて..。でもLICCAさんやうつぼさんの記事を読むにつけ、久しぶりにバートンのダークサイドが爆発してるみたい(血みどろ!)で、その辺は非常に興味がそそられます(苦笑)。
それにしてもどんな題材でもミュージカルにしてしまうお国柄...ある意味凄いです(^皿^;)。
by 堀越ヨッシー (2008-01-27 06:21) 

kikuzou

こわ~
ワタシは血が出るのダメなんで・・・
しかしジョニーディップ、素顔の出ない役が多いですね。
by kikuzou (2008-01-27 07:12) 

こんばんは!
げげげ。この映画、内容を知らなかったので、「アダムスファミリー」のような、ホラーコメディかと思ってました。血みどろですか・・・ 苦手です。
事前にうつぼさんのブログ拝見してよかったです。
by (2008-01-27 18:02) 

うつぼ

LICCAさん、こんばんは!
ホント、血まみれというか、これでもか、、でしたねぇ。。(笑)
確かに、
>人肉ミートパイを実に美味しそうに食べる住人たちの無邪気な顔
これはおえーと思いつつ切なくなってしまいました。
普段、楽しい映画ばかり観ているので、たまにはいいかな、って感じですね。
by うつぼ (2008-01-27 21:34) 

うつぼ

ヨッシーさん、こんばんは♪
>アラン・リックマン(あの鼻にかかった声の感じが大好き!)
私もです。でも、今回は本当にエロオヤジでした。(笑)
彼の作品だと「ギャラクシー・クエスト」が本当に馬鹿馬鹿しくって笑えて好きな作品です。ヨッシーさんも機会がありましたらゼヒ。
ティム・バートンというと「シザーハンズ」が一番印象的なのですが、今作は全くテイストが異なっていてビックリでございました。劇場に行くお時間がなければレンタルで一度は観てもいいかも。
by うつぼ (2008-01-27 21:38) 

うつぼ

kikuzouさん、こんばんは。
血はダメでつか。私もでつ。。。
そういえば、「死霊の盆踊り」でしたっけ。近所のtsutayaでは見つからないのですが、何とかみたいと思います。これは血しぶきピューじゃなさそうですもんね。(^_^.)
by うつぼ (2008-01-27 21:41) 

うつぼ

bonheurさん、こんばんは!
>「アダムスファミリー」のようなホラーコメディ
ぜーんぜん違いますから間違って劇場に行ってギャーとなりませんように。
私はミュージカルが好きなので、音楽や雰囲気というか、舞台のような感じを楽しんだ部分もありますが、如何せん血が凄くて。。動脈を切るとああなっちゃうのかー、などとブルブル震えながら観ておりました。(ーー;)
by うつぼ (2008-01-27 21:44) 

YaCoHa

こんにちは。もしかしたら今後観れるかもしれないので、最初と最後の方しか読んでません(ゴメンなさい)が、コレ、舞台作品にもなっているんですね!・・・なぜ舞台ではスキンヘッド?ジョニーデップのイメージが・・・(実は舞台の方が先ですか。)
by YaCoHa (2008-01-28 01:41) 

うつぼ

Yakohaさん、こんばんは。
今度ご出張の時はこの作品でしょうか?血まみれが平気ならおススメですが、そうでなければレンタルがよいかもしれませぬ。
>なぜ舞台ではスキンヘッド
この役者さんが若い頃からこういう頭の状態で。役柄によってはヅラも着用されていますが、多分、怖い役柄なので地のままいったのでは、と勝手に解釈しています。舞台版は何度も上演されているのでオリジナル版はかなり古いです。(ブロードウェイの初演は1979年)
ジョニー・デップは全然舞台版のセルヴェリスさんと違いますが、ちょっと入った白髪とあの青白い顔が怖くて怖くて。。
by うつぼ (2008-01-28 21:36) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1