「サンキュー・スモーキング」を観る [映画(さ行)]
レンタルDVDで「サンキュー・スモーキング」を観る。
2005年 ジェイソン・ライトマン監督作品
ニック・ネイラー(アーロン・エッカート)は「タバコ研究アカデミー」で働くロビイスト。
1日に1200人もの人を殺しているニコチン業界に勤めるニックは、
情報操作が仕事の自称「ニコチンのカーネルサンダース」。
ニックはタバコの害を訴えるトークショーに登場し、
タバコ反対の団体がタバコの吸い過ぎで癌になった少年が登場させて害を訴えるが
それを聴いたニックは不利な立場ながらタバコ反対派を論破してしまう。。
ニックは、週に1度、
三企業のスポークスマンで会合を開いている。
彼らはMOD(Merchants Of Death=死の商人)と呼ばれる人達。
アルコール産業のロビイスト、ポリー(マリア・ベロ)、
銃器産業のロビイスト、ボビー(デビッド・コークナー)、
そして、タバコ産業のロビイスト、ニック。
互いの情報を交換しながら明日のロビイスト活動に備える日々だった。。。
そんなニックにも気がかりなことが1つ。
別れた妻に引き取られ、週末しか会えない息子のジョーイ(キャメロン・ブライト)である。
父親の仕事に疑問を持つジョーイに、正しく議論すれば間違うことはないというニック、
そんな父親の姿にジョーイも少しずつ理解し始めるようになるのだった。
と、タバコ反対強硬派のフィニスター上院議員(ウィリアム・H・メイシー)が
有害なタバコには「POISON(毒)」の文字と「ドクロマーク」をつけるべきだと
「ドクロマーク法案」を議会に提出した為、ニックは法案可決阻止の為の方策を考えることに。。。
アメリカでタバコが大量に売れるようになったのは、第一大戦後、
映画の中でローレン・バコールがタバコを吸う姿を見た国民がこぞってタバコを買ったからだ。
同じように映画の中で人気俳優にタバコを吸わせたらきっとまたタバコが売れるだろう、、
そう思ったニックは対策会議でアイデアを披露し上司のBR(J・K・シモンズ)に反対されるが、
フィルター付タバコを発明したタバコ界のドン“キャプテン”(ロバート・デュバル)のお墨付きを貰い、
キャプテンのプライベートジェット「タバコ・ワン」に乗って一路LAへ。。。。
(息子ジョーイもついていきたいと懇願し、一緒に連れて行くニック←モチロン元妻は大反対)
ハリウッドのエージェント、EGO社の社長、ジェフ・マゴール(ロブ・ロウ)に会うと
健康ブームの現代を舞台にした映画でタバコ、、では批判もくるから未来の設定にしよう、と乗り気。
ジェフの返事を待つ間、息子ジョーイと遊園地でアイスクリームを食べながら
「どうやって皆を言葉で説得させるかが大事だ」という話を滔々と語っていたニック、
その話にジョーイは父親の仕事に対して彼なりに理解するようになっていくのだった。。。
そして、返事を待った甲斐あり、
ブラッド・ピット&キャサリン・ゼタ・ジョーンズの2人で2500万ドルで引き受けようと承諾される。
ジェフからはハリウッド映画の了承も得られ、息子とも有意義に話が出来たが
ニックにはもう一つの仕事があった。
初代マルボロマン(←マルボロCMに登場した人物)が肺がんになったのはタバコのせいだと
訴訟を起こそうとしているので、金銭で穏便に話をつけてくるのが次の仕事。
ジョーイと一緒に車で初代マルボロマン、ローン・ラッチ(サム・エリオット)の住む農園に着き、
ジョーイを車に残して一人家に入るものの、勿論歓迎される訳もなく、ローンに銃で脅されるが、
ニックは理詰めでローンを説得し持参した金を渡して受け取ってもらう。。
息子ジョーイは、車から降りて父ニックとローンのやりとりをそっと聴いていた。。。。
無事に仕事を終え、ドクロマーク法案阻止の為の対策も打てたと戻ったニック、
テレビの生放送トークショウに出ていると、匿名電話がかかってきて
「1週間以内に処刑する」と言われてしまう。
そんな時に知り合ったのがタイムズ紙の記者のへザー(ケイト・ホームズ)。
取材しながら呑んで喋って意気投合して
思わず自宅にお持ち帰りしてしまうニック。
勢いでへザーと関係を持ってしまったニックだった。。。
が、生放送の番組で匿名ながらも処刑すると言われたニックは身辺警護を断り
いつものように行動していると、、、、近づいたバン、そして誘拐され。。。。。。。
カメラはないからウソをつくなと脅された上に、
動けなく拘束された全身に貼られたのが、
大量のニコパッチ。
誘拐した張本人はニコパッチの様々な副作用を読み上げるが
ニックはそれを聞く余裕もないままに意識を失い。。。。。
気づいた時は病院のベッドに居たニック。
非喫煙者だったら死ぬ量のニコチンを体中からニコパッチで摂取したものの、
普段からタバコを吸っていたせいで命は助かったが、今後一生タバコを吸うことはできない、
吸ったら全身が麻痺してしまうだろうと医者から宣告されたニックは、
匿名犯によって生死の境をさまよって自分に同情が集まっている間に、
フィニスター議員から呼ばれていた公聴会に出席すべきだと決断するが、、、
そんな決断に水を差したのが、何度も関係を持ってしまったへザーによって発表された自分の記事。
お戯れの時の記事はあくまでもオフレコ、、、と思っていたニックに対して、
どこにいても仕事は仕事と思っていたへザーはニックから聞いたあらゆることを書いていた。
ニックは仕事は単なる住宅ローン返済の為の手段だと思っていること、
映画の中で人気俳優にタバコを吸わせてタバコ販売量を増やそうとしたこと、
死の商人MODのこと、息子のこと、、、、話したことを軒並記事にされてしまったニックは
へザーに電話して抗議するが、お互い仕事をしている身、
私も住宅ローンの為に仕事をしているのよ、とあっさりとかわされてしまう。。。。
記事が発表されたが為に、ドクロマーク法案阻止が難しくなったと思ったニックの上司BRは、
公聴会に出ないようにニックに言い渡す。
更に、ニックの味方だったキャプテンは突然死んでしまい。。。。
キャプテンの葬式に出た後にニックは所属していたタバコアカデミー研究所をクビになり、
自分がしていたことはなんだったんだろう、、、、とニックは家に引き篭もり悶々としてしまう。。。。
そこに現れたのが息子ジョーイ。
お父さんは情報操作の王なのに、ちょっとしたことで惨めに浸っている。
僕にとっての父親はあなただけだし、あなたは正しい。
憎まれ者を守り抜く方法は、悪事を働いたせいで客に見捨てられた会社思い出せば分かるはず。
↑
(森林伐採開発業者、搾取工場、石油採掘業者、地雷開発者、アザラシの子の密猟者などなど)
そう息子に言われたニックはシャキンと目が覚め、死の商人との会合でアイデアが浮かぶのだった。
公聴会に出席する前に、へザーの名前は伏せながらも記者と関係を持ったことを告白し、
知人(←死の商人の残りの2人)まで非難されたことを申し訳なく思い、
彼らの為にも立ち上がりたい、代償は必ず払わせます、と言い切ってニックは公聴会の場へ。
公聴会でタバコの害について聞かれたニックは、
タバコは無害だとは思わない、だから今更ドクロマークが必要なのかも分からない、
それだったらボーイングの飛行機の機体にも自動車にもドクロをつけるべきではないのか、
それよりもチーズはコレステロールがたっぷりで高コレステロールの死亡者も多いのはどうなのか、
と、ヴァーモント(←チーズで有名)出身のフィニスター上院議員に逆に疑問を投げかけるのだった。
更に、
「自分の息子の成長に責任がある、
今は未成年だからタバコは吸わせないが、18歳になったら一緒にタバコを吸うのか?
それはもし息子がタバコを吸いたがったら買ってやります。」
ニックがそう答えて公聴会は終了。
公聴会を聞いていた元ボスのBRが又一緒に働こうというのを断ったニックは
住宅ローンの返済よりも大事なものがある、と思うようになっていた。
その後、かつての職場は組織解体の憂き目に遭い、
自分を陥れたへザーはテレビ局の天気リポーターに異動となり、
息子ジョーイは(父親の指導の成果?)ディベート大会で優勝、
そしてニックは「ネイラー戦略的広報事務所」を開いて喋る才能を活用させていたのだった。。
タバコの映画なのにタバコを吸うシーンがない映画で面白いなあ、と思いました。
一見ネガティブな素材でありながら、
ボウリング・フォー・コロンバイン マイケル・ムーア アポなしBOX
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2003/08/27
- メディア: DVD
こういうドキュメンタリーではなく、フィクション映画として作っているせいか
ロビイストってこういうことしてるんだなあと不快に思いながらも
ニックが決してウソをついている訳ではないが為に憎みきれない部分もあったりして
何だか痛し痒し、、、という感じがしながらも非常に面白い作品だと思います。
最後の公聴会の場面では、正義の味方だったはずのフィニスター議員を逆に責める、、、
というのが面白かったりもするし、息子とのジンとくる関係も製作側の思惑通りに引っ掛かったし。(笑)
元々は、昔々に分かれた元カップルが中年になって再会した映画^「カンバーセーションズ」で
アーロン・エッカートを観て気になっていたので他の出演作品として借りたのですが、
憎憎しい役柄なハズなのにどこか憎めない雰囲気が漂っていて、
気に入りました
また、ハリウッドのエージェントを演じたロブ・ロウ、
着物を着て枯山水のある庭園を持ったオフィスでニックと対面するのですが、
中年になった姿にはかつてのオーラがなかったような。。。。(悲)
特に「ホテル・ニューハンプシャー」なんて、姉ちゃん役のジョディ・フォスターと・・・・になったりして、
結構好きだったのに、、、今作ではなんだか枯れちゃった感じがしちゃったりして。。(ーー;)
やっぱり、、、あんまり若い内に売れちゃうと中年になってから苦戦するのかな。。。。
なんてこともあれこれ考えながら見たのですが、
キャプテン役のロバート・デュバルや、初代マルボロマンのサム・エリオットなどの
いぶし銀俳優の演技もよかったりして、タバコについて観客各々が考える余地を持ちながら
笑わせてほろっとさせて、、、と、きっと何度観ても飽きないなあ、と思った
「サンキュー・スモーキング」でありました。
もうひとつこの映画のいいところは、たったの93分しかないんですよね。
このコンパクトさが見事だったと思います。
日本語吹き替え版で観るともっと面白いのかなあ、と最近また気になってます。
by ken (2008-02-15 01:02)
kenさん、こんにちは。
そうですね。この作品の時間はちょうどよいというか飽きずに観られますよね。
吹替えについては全く考えていませんでしたが(いつも字幕つきで見ているので)、こういう作品だと面白そうですね。今度借りて吹替えで見ようかな。
by うつぼ (2008-02-16 13:26)