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「ヘアスプレー」を観る [映画(は行)]

映画「ヘアスプレー」を観る。 
 2007年アラン・シャンクマン監督作品

ヘアスプレー

ヘアスプレー

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2004/10/23
  • メディア: DVD

1988年に発表されたジョン・ウォーターズ監督のB級カルト映画が
2002年にブロードウェイミュージカル化され、今回、更に再映画化された作品です。

プロデューサーズ

プロデューサーズ

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2007/06/22
  • メディア: DVD

↑メル・ブルックス作品と同じような流れ(映画→ミュージカル→再映画化)ですね。

私は、ディヴァインという伝説の(オカマ)カルト俳優見たさでオリジナル版の映画を見た後、
ミュージカル版も5回観ているのですが、今回どのように再映画化されたのか楽しみで
映画館に足を運びました。


舞台は1962年のボルチモア(メリーランド州)。
(注:ボルチモアは映画オリジナル版の監督J・ウォーターズの出身地です)

チビで太った女子高生のトレーシー・ターンブラッド(ニッキー・ブロンスキー)は、
TVのダンス番組「コーニー・コリンズ・ショウ」に出演して
一番人気のアンバー(ブリタニー・スノウ)やリンク(ザック・エフロン)のように
レギュラーメンバーになって有名になることを夢見ている。
(この番組の提供が“ウルトラ・クラッチ[←超ガチガチ?]”という商品名のスプレー)
 髪型には気をつかうトレーシー
いつも、学校が終わると親友ペニー(アマンダ・バインズ)と一緒に
 番組を見るのを楽しみにしていたが、
番組の欠員補充のオーディションがあると知り、番組オーディションに行きたいと言いだす。
が、母エドナ(ジョン・トラヴォルタ)は大反対、一方、父ウィルバー(クリストファー・ウォーケン)は
「本当にやりたいことならやりなさい」と応援してくれたのでオーディション会場に行くが、
アンバーの母で番組プロデューサー(?)のヴェルマ(ミシェル・ファイファー)に
「あなたみたいにチビでデブがテレビに出られる訳がない」と一蹴され不合格に。

オーディションに受からずガッカリしたトレーシーは遅刻したクラスで居残りを命じられ、
渋々居残りクラスに行くと、黒人のシーウィード(イライジャ・ケリー)に出会う。
有色人種差別主義のヴェルマが番組を製作しているコーニー・コリンズショーなので、
黒人が出られるのは月に一度の“ニグロデー”だけ。
(このあたりは当時の時代性も反映しているんでしょうね)
そのニグロデーの司会モーターマウス・メイベル(クイーン・ラティファ)を母に持ち、
番組にも出演したことがあるというシーウィードに流行のダンスを教えてもらい、
ある日、高校のダンスパーティでシーウィードに教わったダンスを踊ったトレーシーは
やってきていたコーニー(ジェームズ・マーズデン)の目に留まりそのまま番組へ。。

 生放送の番組に出演して踊った後、
マイクを向けられて「毎日ニグロデーにすればいいのよ」と爆弾発言するトレーシーだったが、
明るい性格と独特のダンスとで一躍番組の人気者になる。
番組オーディションに反対していた母エドナもテレビ画面の中で踊るトレーシーの姿に大喜び、
更に、大きいサイズの婦人服で有名なデザイナーのピンキー(ジェリー・スティラー)に
親子でモデルになってほしいと依頼され、更にトレーシーの人気はウナギのぼりに。。。
 ピンキーの洋服で
 2人ともオシャレさんに

わがままなアンバーと付き合っていたリンクもトレーシーの明るさと優しさに惹かれ、
シーウィードやペニーとも仲良くなっていくが、
 モーターマウス・メイベルが
有色人種の差別廃止、肌の色を区別することなく番組に一緒に出すべきだと、
テレビ局までプラカードを持ってデモを行なおうとすると「それには参加できない」と
リンクはトレーシーの元を去っていってしまう。。。
トレーシーは、リンクが去って悲しく思いながらも自分の考えは曲げたくないと、
エドナ、ペニー、シーウィードと仲間達と共に抗議デモに参加するが、
ヴェルマがそれを通報した為にテレビ局には大勢の警察が待機していた。。
エドナがトレーシーに逃げるように言うと警察の手から逃げていくトレーシー。。。

捕まったエドナ他は、保釈金をウィルバーが支払い、全員保釈されるが、
トレーシーは警察の指名手配になったまま。
その頃、コーニー・コリンズ・ショーでは「ミス・ヘアスプレー」のダンスコンテスト&投票が行われ、
アンバーがトレーシーを得票数で抜いて(といってもトレーシーの票をヴェルマが隠していた)
もう少しで優勝、、、というところで厳戒態勢の中、両親、ペニー、シーウィード、
モーターマウス・メイベルなどの力を借りてトレーシーが番組のスタジオに登場し大盛り上がり、
アンバーを抜いて優勝するか、、、と思いきや、ステージで踊ったシーウィードの妹、
 リトル・アイネス(テイラー・パークス)の
可愛らしい姿に票が集まり、優勝したのはリトル・アイネスとなりました。。 めでたしめでたし。



非常によくまとまった映画でハリウッド映画としてはよいと思いますが、
舞台版が好きな私としてはちょっと物足りなさも残りました。

例えば、差別反対の抗議行動のくだりで、舞台版ではヴェルマ&アンバー含めて全員が逮捕され、
 留置所に入れられた後、
ヴェルマの策略で皆保釈される中、トレーシーだけオリの中に残され、
それがテレビで報じられると、逮捕されると人気者だったトレーシーや家族の生活は一転、
父ウィルバーは店を開けられず、ピンキーとの契約も打ち切られてしまい、
世の中ってこんなものなのね、、と思っていると、トレーシーの元を去ったはずのリンクが
やっぱり君を忘れられないとトレーシーを助け出し、2人でシーウィードのところに転がり込むと、
自分達が指名手配されて大騒ぎになっていることを知り自首しようとします。
すると、モーターマウスがトレーシーに夢を諦めてはいけないのよ、と言い聞かせ、
コーニー・コリンズ・ショーの人気投票最終決戦の場に送り込む。というあらすじなのですが、
映画版はその辺りがすっぽり抜けてしまっていたので見ながらアレレレレ?と驚きました。

あとは、アンバーの母ヴェルマが、
自分が昔「ミス・ボルチモア・クラブ(=カニ)」に選ばれた時、
ありとあらゆる手を使ってその座を手に入れたのよ、と歌う♪Miss Baltimore Crab♪で
ミシェル・ファイファーが非常にきれいに上品に(かつ陰湿に)歌っていたのですが、
舞台版ではカニどころ(のボルチモア)らしく、
 ヴェルマ(左から2人目)が
カニを模したような風情で踊りながら歌いまくるのが観客の大爆笑を誘っていたので
映画版で「カニ」らしい雰囲気が見えずに残念でした。
戸田奈津子の字幕でも一切カットだし、歌の歌詞もエゲツナイ部分は削除か修正されていて
???と思ってしまいましたが(シャーリー・テンプルの悪口も出てくるのがカットされてました)
舞台と違って大勢の人が観る映画だから配慮があったのかもしれませんね。

それから、、最後の優勝者がリトル・アイネスになってしまったのも??と思ってしまったのですが。
トレーシーが優勝しても良かったような。。ま、どちらが優勝してもめでたいのですが。。

もひとつ、
舞台版では、「ミス・ヘアスプレー」に選ばれたトレーシーに州知事が恩赦を出し、
有色人種を激しく差別していたヴェルマは自分の意に反した結果となってしまったものの、
番組の盛り上がりをプロデュースした腕を買われて化粧品会社の役員になって、、、と思ったら、
担当は「有色人種向けの化粧品」で、驚くヴェルマとアンバーにトレーシーが手を差し出して、
互いに差別をなくしましょう!、と和解したところで舞台は終わるので、
ヴェルマとアンバーにもそういうエンディングが良かったかもね、なんて思いました。

それからね、あともうひとつ。
 ジョン・トラヴォルタ。(ーー;)
この人でなければいけなかったのかしら、、、としみじみ。。。

オリジナル映画版では、カルトムービーでおなじみの伝説のお釜女優(俳優?)、 
 ディヴァインだったし、
 因みに右のウィルバーは、
今回ピンキー役で登場しているジェリー・スティラー(ベン・スティラーのお父ちゃん)。
役柄を変えて出てくる辺りが面白いですね。
また、トレーシー役を演じていたリッキー・レイクが
 現在ではこんなに痩せています(驚)
最後の人気投票の場面で観客席に現れる芸能事務所のエージェントの1人として出演しています。
他にもオリジナル映画の監督ジョン・ウォーターズも今作の冒頭でトレーシーが
♪Good Morning Baltimore♪を歌いながら学校に向かう途中で
路上に現れて御開陳する「露出狂」としてチョロッと登場しますよ。

また、エドナ役はブロードウェイ版では、
劇作家で俳優で映画「おまけつき新婚生活」にも不動産屋の役で出ていた
 ハーヴェイ・ファイヤスティーンで
 一度聴いたら絶対忘れないダミ声で
舞台がこの人の毒々しいお陰で盛り上がったといっても過言ではなく。

今回、あまりに毒気のないジョン・トラヴォルタに拍子抜けしたのですが、
なんだか毎回4時間かけて特殊メイクした甲斐がないような。。
これはハリウッド映画だから毒の無い方が万人受けすると見たのでしょうか。。。ね。

 逆にウィルバー役のウォーケン様の方がカルト(笑)
 このツーショットもある意味カルトだけど

舞台版も なかなかスゴイ雰囲気ですね。

また、ヴェルマ役は、
 オリジナル映画版が
 デビー・ハリー様だったので、
 ミシェル・ファイファーで良い雰囲気でした

また、トレーシーの親友ペニー。
チュパチャプスのような飴を常に舐めているのが印象的で面白いキャラクターですが、
これがミュージカル版ではガムを常に噛み続けています。
更に、オリジナル版の映画では飴を手にもって口に入れて舐めては取り出してを繰り返す
非常に摩訶不思議なキャラクターです。
だからどうした、といわれるとそれだけの話なんですが、皆さんにも見比べてほしいキャラクターです。

ただ、「ハイスクール・ミュージカル」で、うつぼ的には萌え萌えだったはずの
 リンク役のザック・エフロン
ナゼか、今回は時代設定のせいか、周囲の役者さんの濃さに負けたのか今ひとつピンとこず。
逆に、時々トレーシーを見つめるときの真正面からのカットが「寄り目」になっていて(笑)。

今回、事前にオリジナル版の映画をビデオで観て(何故か所有している私、、、笑)
予習してから行きましたが、

ヘアスプレー

ヘアスプレー

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2004/10/23
  • メディア: DVD

今回の映画版&ミュージカル版とは大分趣が違います。。
音楽が全然違うだけでなく、物語の展開もかなり違っている上に
トレーシーも可愛いというよりはカルト寄りなキャラクターに見えてしまったり、
脇役(芸術家風の変なカップル)をリック・オケイセックピア・ザドーラが演じていたり
人種差別反対運動シーンがかなり激しかったり(白人至上主義の白人団体と衝突するシーンもあり)
やはり作られた時代が違うのと、
・B級カルト映画
・舞台でミュージカル
・ハリウッド映画
と、製作意図や観客層が違うのであれば、3つが異なるのも当然なのかな、と思いつつ、
幅広い観客が違和感なく観て楽しんでハッピーな気持ちになれるのは今作だろうな、
と思った「ヘアスプレー」でありました。

サントラのことも書こうと思ったのですが、あまりに長くなってしまったので次回記事へ。


(おまけ)
この映画では出てきませんが、オリジナル版とミュージカル版では、
高校の体育の授業でドッジボールをやる場面があるのですが、
そこで、アンバーがトレーシーに向かって思い切りボールを投げつけ、
トレーシーがそのボールを顔に受け失神してしまいます。
失神はしないのですが、ドッジボール、、、意地悪な女、、、というキーワードに

大映テレビ ドラマシリーズ 少女に何が起ったか

大映テレビ ドラマシリーズ 少女に何が起ったか

  • 出版社/メーカー: エイベックス・トラックス
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: DVD

こんなドラマを思い出してしまいました。
キョンキョン初主演の大映ドラマ「少女に何が起ったか」。
賀来千香子が薄幸の主人公キョンキョンにドッジボールで思い切りボールを投げつけて
ピアニストを目指すキョンキョンの指を怪我させる、まさに大映ドラマの真骨頂のような場面。(笑)
音楽の学校だしドッジボールなんて怪我したら大変だからやらないと思うんですが、
「うすぎたねぇシンデレラ」と夜中に現れてはキョンキョンを脅しまくる石立鉄男とか
父親にしては若すぎる風間杜夫とか、あの大映らしい雰囲気を味わいたくなったら
急に見たくなったのですがレンタルってあるんでしょうかねー。


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Victoria

こんばんは(*´ω`*)
ヘアスプレーの記事かと思って読み始めたら、最後にいきなり「少女に何が起こったか」が出てきてウケました(σ*`ω´*)σあはは
ショパンの革命、ベートーベンの熱情!
大好きなドラマですw

映画ヘアスプレー見たので、私も今度記事アップします。
ミュージカルのほうも観たいなー。
by Victoria (2007-11-20 00:56) 

こんばんは♪
この映画、観たいと思ってまだ行ってないです・・・早く見たい・・・。
オリジナル映画版のお釜女優も凄い迫力ですね。
前2作と比較分析されているうつぼさん、さすがです。
大映ドラマを連想されるうつぼさんも、さすがです。賀来千賀子がいじめっ子役だったんですか・・・。ワカメ好き好き石立鉄男さんも出演されていたのですね。こっちも見てみたくなりました(笑)
by (2007-11-20 19:09) 

Catcat44

うつぼさん、こんばんわ!
無事、見られたようで(笑)
思うに、この07年ハリウッド版「ヘアスプレー」は、オリジナルもブロードウェイも知らない方が、楽しめるみたいですね。
確かに個性的なキャラクターがいっぱいですが、うつぼさんの記事からしても、舞台版の方がすごそう・・・
私は、トレイシーを演じた子の声が結構好きだったので、ハマれたのですけどね。
ジョン・トラボルタのキャスティングは、恐らくは「サタデー・ナイトフィーバー」からの流れで、って事なのでしょうけど、女装姿も意外と普通に収まっちゃってます。こんなビッグママ、いるかも・・・?
私も、ザック・エフロンは、普通に雑誌とかに載っている方が、カワイイと思っちゃいました。リーゼントがイケなかったのでしょうか。

まさか、大英ドラマの話になるとは(笑)
伊藤かずえと松村雄基のイメージが強いですが、堀ちえみが死ぬやつも、ありましたね。あまり好きじゃなくて、妹が見るから、見てるみたいな感じでしたけど、結構どのドラマも、記憶に残っていたりします。
キョンキヨンのは、「神のピアノじゃ弾けない!」でしたっけ?(笑)
by Catcat44 (2007-11-20 22:28) 

うつぼ

Victoriaさん、こんばんは。
映画は映画で出来が良いと思うのですが、ゼヒ舞台版もご覧になってください。きっと気に入っていただけると思います。。。
>ショパンの革命、ベートーベンの熱情!
紙に書いたピアノ鍵盤を必死に叩くキョンキョンに涙です。。。
by うつぼ (2007-11-21 18:20) 

うつぼ

bonheurさん、こんばんは!
>オリジナル映画版のお釜女優
ディヴァインはすでに亡くなっているのですが、当時ジョン・ウォーターズ監督のカルト作品によく出ている俳優です。久しぶりにディヴァイン主演のカルト映画「ピンク・フラミンゴ」を借りようとTSUTAYAに行ったらありませんでした。おまけに「ヘアスプレー」も無くて。。(涙)
大映ドラマはよく見てましたね。あまりのクサイ演出に時に笑ったりもしたのですが、平成の現在には製作不可能ですね。レンタルがあれば観てみたいのですがあるかどうか。。。。 
by うつぼ (2007-11-21 18:26) 

うつぼ

LICCAさん、こんばんは!
はい、無事観て参りました。「ボーン・アルティメイタム」の直後に。(笑)
映画だけ観れば非常に楽しいと思うのですが、私の場合は先入観たっぷりで観てしまったので違和感があったのかもしれませんね。
舞台版は映画ほど出演者がいないので一人ひとりの個性が際立っているかもしれません。あと、衣装は非常にカラフルで楽しいですよ。
>ザック・エフロン
ハイスクール・ミュージカルを観て自分の目を確かめたいです。(笑)
大映ドラマはふと思い出してしまったのですが、思い出せば思い出すほどおかしくておかしくて。。。(笑) 伊藤かずえ&松村雄基、大映には欠かせない俳優ですよね。ああ懐かしい。。。
by うつぼ (2007-11-21 18:35) 

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