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東京オーガニックボーイズの落語を聴く② [落語・お笑い]

東京オーガニックボーイズ」の落語を聴きに赤坂区民センターへ。 

 今回で聴くのは2回目
前回聴いた時、風邪で体調が非常に悪そうだった月の家鏡太さんの噺で
迂闊にもウトウトしてしまったので今回はちゃんと聴かないといけない、
と再び足を運んだのですが、場内は満員御礼で50人くらい入っている模様。
そして、若い二つ目さんの会だからか、20代と思しきレディース多数。
こういう雰囲気は普通の寄席では決して味わえません。(笑)

最初に出てきたのは前座の柳亭市朗さんで噺は「金明竹」。
主人が出かけている間に中橋の加賀屋佐吉から使いに来た男が、
早口な上方弁で道具七品の話をするが、店番を頼まれた与太郎だけでなく、
おかみさんにも意味が通じず困り果ててしまう噺。
この噺は今年に入ってから桂米太朗さん、古今亭菊六さんと2回聴いたので
すっかり覚えてしまった噺なのですが、やはり話す人によって微妙に違います。
今回は与太郎が店番をしている時に最初に店にやってきた客2人を省略して、
最後の加賀屋佐吉の使いのところから話し始めたのでちょっと物足りなかった感じ。
あと少々滑舌があまりよくないのか早口で喋ると聞き取りづらかったかな。
場内の若いレディース達は素直に笑っていましたが、
あちこちで聞くようになると少々意地悪くなってしまうようで。。。
時間が限られている分、少々気の毒な気もしましたがもうちょっと頑張ってね。

次に出てきたのは、
 月の家鏡太さん 
今回は最後に出てくる林家たけ平さんの出し物の関係で生のお囃子だったので
鏡太さんの出囃子が演奏されたのですが「ヒゲダンス」でした。(笑)

噺は「棒鱈」。
江戸っ子の二人連れが料理屋の座敷で飲みながら
あれこれと難しい注文をつけて芸者を呼ぶがなかなか来ない。
先に隣の部屋に芸者がやってきたと思ったら、
非常に訛った田舎侍が大騒ぎしているのが筒抜けに聞こえてきた。
そして、料理の注文をするのだが、
赤ベロベロの醤油漬けと、イボイボのスッパ漬け」と注文をしている。

二人連れが一体何のことかと思っていたら、
赤ベロベロ=まぐろ、イボイボ=タコのことらしい。思わず爆笑する二人。

更に、訳の分からぬ歌をあれこれと歌いだし、しまいに1年の歌と歌い出したが、
「いちが~ち(一月)、いちがち~は、まつかじゃーり(松飾り)」
「にが~ち(二月)、にがち~は、てんて~こてん(←?)」
「さんが~ち(三月)、さんがち~は、おひなしゃ~ま(お雛さま)」
「しが~ち(四月)、しがち~は、おしゃか~しゃま(お釈迦様)」
あまりの訛りのひどさに笑いを通り越して怒りが湧いて来た江戸っ子二人は、
隣の田舎侍がどんな顔をしているか見ようと障子越し見るはずが、
ついつい部屋になだれ込んでしまう。 

驚く田舎侍に「お前の訛った言い方で酒がまずくなる」と怒る江戸っ子。
言い合いが乱闘に発展しそうになったところで、
調理場で料理していた板さんも助けを求める知らせが。
料理に使っていた胡椒を持ったまま上の座敷へ。
田舎侍と江戸っ子の間に入って喧嘩を必死に止めようとする板さん、
無意識に手にした胡椒をブンブン振り回していたので、
周りの全員がハックションハックションの嵐。

「ベラボウめ、テンテコテンが、ハックション」
「ま、けがをしてはいけませんから、ハックション」
「無礼なやつめ。真っ二つにいたしてくれる。それへ、ハックション」
「まあまあ、みなさん、ハックション」

と、他にいた侍が「ハックション、皆の者このけんかはこれまでじゃ」
「そりゃまた、どうして」
「ケンカに横から胡椒(故障=邪魔)が入った」 でサゲ。

噺の中にタイトルになっている鱈が出てこないのですが、
「棒鱈」とは、元々は鱈の三枚におろしたもので、
俗語で酔っぱらい、阿保、野暮天の意味だとか。

鏡太さん、前回聴いた時よりは元気そうでしたが、もそもそと話す感じで、
この噺で大事と思われる江戸っ子の歯切れ良いタンカが今ひとつだったかな。
こういう噺なのでもっと威勢よく弾けてほしかった、と思うとちょっと残念。

15分の仲入りに続いて、
 古今亭菊六さん。 
噺は「幇間腹(たいこばら)」。 たいこ持ちの噺です。

道楽者の若旦那、やることやり尽して、することがなくなってしまった。
次は何をしようと考えて、道楽で人生終えるのもどうかと思うし、
人の助けになるようなことをしてみようと、鍼灸を習ってみようと思い立つ。
早速弟子入りしてみるものの、なかなか実践でさせてもらえないので
家に帰ってから実際に鍼を打ちたくなった若旦那。
猫に鍼を打とうと思ったら逃げられてしまったし、
他に誰か練習台になってくれる者はいないかと、
考えてみて思い浮かんだのがタイコモチ(幇間)の一八。
五両もやれば文句は言わないだろうと早速一八の家に出掛けると、
若旦那を見た途端、相変わらず調子の良い一八。
「何百人も芸人とつき合ったが頼りになるのはお前一人」と若旦那におだてられ、
調子に乗って「若旦那の為なら命も惜しくない」と口走ったのが運の尽き。
若旦那の「一生の頼み」と聞いて仰天したが後の祭りで、
しぶしぶ五両で「鍼の実験台」を引き受けさせられる。

南無阿弥陀仏と唱えながら観念して横になる一八に、
人に鍼を打つのが初めての若旦那も緊張しながら鍼を打つ。
水落へ鍼を打つとスッと入り面白くなって全部入れたら抜けなくなった。
慌てる一八に「こういう時は迎え鍼を打てば入った鍼も抜けるはず」と言いながら
更に一本鍼を打つ若旦那。 と、迎え鍼も中まで入って抜けなくなっちゃった。
どうにもならなくなって爪を引っ掛けて腹の皮を引っ張ると血が出てくる始末。
痛さに叫ぶ一八に慌てて若旦那は逃げてしまい。。。

心配して観に来た人に「一八さん、どうしたい。切腹でもしたのかい」と聞かれて、
「冗談じゃねえ。これこれこういう訳で若旦那を逃がして。」と答える一八。
更に「いくらかになったのかい?」と聞かれて、
「いや、一文にもならないよ。皮(たいこ=幇間)が破れて鳴らないから」
と答えてサゲ。

今でも都内に数人いる幇間(男芸者ともいうそうですね)ですが、
旦那の言うことには右へ倣えのリアクションに爆笑の一席でありました。
(菊六さん、前回のそばきり寄席の時よりも良かったです)

主任を務めるのは、
 林家たけ平さん 噺は「稽古屋」
隠居のところにやってきた少々間の抜けた男が
女にもてるためにはどうしたらよいかと相談する。
所持金たった三十銭という男に「芸事を習ったらよいだろう」とアドバイスする隠居。
早速、隠居にお金を借りて、横丁の音曲のお師匠さんのところに行き
清元を習うことにしたけれど。。。

♪世辞で丸めて浮気でこねて、小町桜のながめに飽かぬ……♪
師匠のお手本通りに歌うつもりが、男が歌うと途方に調子っ外れ。

何度やっても上手くならない男を見かねた師匠は、
これから子供の稽古が始まるから隅っこで一人で練習しておきなさい、と
言い放ち、子供の稽古を始めてしまう。
待っている間に時間を持て余して子供の持ってきた芋を食べてしまったり、
とトンでもない態度の男に再び教える師匠。

♪海山を、越えてこの世に住みなれて、煙が立つる・・・♪
と教えてもらって家で練習することになった男は、高いところで練習しようと
家の屋根に上って大声で練習し始めた。

♪煙が立つー、煙が立つー♪ と怒鳴る男の声に驚いたのが近所の人達。

「おーい、火事はどこだー?」 と近所の人が聞いたところに、
「煙が立つー」 とタイミングよく歌う男。
「だから、火事はどこなんだよー」 と更に聞くと、 
「海山越えてー」 と男が歌ったので、
「そんなに遠いんじゃ、オレは(見に)行かねえ」と近所の人が答えてサゲ。

生のお囃子に合わせて歌うたけ平さんでしたが、
あまり歌がお上手でなくて違う意味で笑ってしまった私。
お師匠さんのお手本のところはもうちょっと頑張ってほしかったかもしれません。
とはいえ、普段聞けないネタだったようで、非常に有意義に聞けました。

というわけで、今回は、前座さん以外は全て初めて聴く噺で
前回より楽しめたかな、という印象を受けました。

やはり真打の噺家さんに比べるとウムムムムという部分もあったりするのですが、
これからの伸び代を期待するということで(その過程を見られるのも有意義です)、
次回も都合がつけば拝見したいと思った東京オーガニックボーイズでありました。

 


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堀越ヨッシー

噺家さんが若くなると、お客さんの層もやっぱり若くなるもんなんですねえ。うつぼさん、すっかり育ての親みたいになってます(笑)。でも、芸はお客さんに育てられるって事もありますもんね。頑張って育てて下さい!。
by 堀越ヨッシー (2007-03-18 07:28) 

若い噺家さんたちが増えたんでしょうか。知らない名前のほうが多くて、ちょっとびっくりデス。
きょうもうつぼさんの「噺家」レビューで楽しませていただきます。
by (2007-03-18 13:32) 

うつぼ

堀越ヨッシーさん、こんばんは。
若いお客さんは二つ目さんのお友達が沢山きているから、というのもあるようですが、雰囲気はかなり定席寄席と違います。(笑)
練れた寿輔師匠ばかり見ていると、こういう若い噺家さんでリフレッシュしたくなるのですが(笑)、母の目で温かく見守っていきたいと思います。
by うつぼ (2007-03-19 21:50) 

うつぼ

cocoa051さん、こんばんは。
噺家さんも一時期よりは増えてきたみたいですね。私も知らない人の方が多いくらいですし。
まだまだ知らないネタが多いのでこうやって記事にダラダラと書いては覚えています。毎回じっくり読んでいただいているcocoa051さんには巻き添えにしているような申し訳ない気分もありつつ、感謝感謝です。
by うつぼ (2007-03-19 21:52) 

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